「啼く鳥の」 大庭みな子
「彼女は日常生活でもし自分が感ずるままのことを言ったり、したりしたら、それは攻撃的な、怒りと憤懣と悲しみに充ちた露悪的なものになり、他人を不愉快にし、その結果、みんなに危険な人間だと思われるに違いないと思ったので、嘘をつきつづけるしかなかったのだ。
嘘とはつまりこんなことだ。いやなことでも「はい」とすなおに言ったり、笑いたくないときでも笑ったり、つまらないことでも一生懸命やって、更に一生懸命やり続けることで、自分の頭を麻痺させてしまうというようなことである。
だがもちろんそんなことはとり立てていうほどのことはなく、見まわせば彼女の周囲の人びとは多かれ少なかれそれに似たようなことをしている感じだったので、しまいにはこの狸と狐の化かし合いのような生活というものが、やはりそれなりに何らかの意味があるのであろうと考えないわけにはいかなかった」
以前にも紹介したことのある本から。
http://anais.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/index.html
頻繁に思い出す箇所で、ちょうど昨夜も寝る前に、頭にあった。そこに親友から携帯電話にメールがあり、大庭みな子さんを読んでいます・・・とあったので驚いた。
ところで、今回は以前引用しなかった、ラストの部分に反応している。
「何らかの意味」があるのだろう、と私も、考えないわけにはいかない状況になっているのではないか。
そんなふうに思い、かなり衝撃を受けるという形での反応。
とても白色に近い灰色の空から、雨がぼたぼたと落ちてきている、閉ざされ感ひじょうに高い、落ちつく朝です。
4月 24, 2008 | Permalink






